@下北

kakiko2005-04-30

昨夜は久しぶりに下北沢に訪れた。駒場に通っていた頃は定期もあったことからしょっちゅう途中下車して遊んでいたものだが、こちらにきてからはめっきり行かなくなってしまった。当時の私はこの街のどこかほっとする雰囲気に惹かれてあてもなくブラブラ彷徨い歩いたものだが、今改めてやってくると街じゅうに充満する「若者」達に圧倒されて自分がそこにいることに違和感を感じざるをえなかった。渋谷が醸し出す「若者」感とはまた別種の、エネルギッシュで土臭い若者臭がそこにはある。歳をとるってのはこういうことか。たった数年前の話だが、今はもうあの頃その場所に感じていた親密な「何か」をはっきりと思い出すことができない。私はそんな軽い喪失感を味わいながらclub Queを後にし、近くにあった手頃なバーに入りArdbegをロックで飲んだ。そのバーはいかにも下北な感じの本当に狭いバーだが、ウイスキーの種類もなかなか多くPort ellenなどもさりげなく置かれていた。ゆっくり時間をかけてウイスキーを飲みながらグラスの中の丸く削られた氷をふと眺めて、歳をとるということはこの氷が融けることと同じだなと思った。消えてなくなるのではなく、うまく融け合っていい味が出てくることなんだと。店を出る頃には、それも悪くないな、と思えた。