パウル・クレー展@大丸ミュージアム

kakiko2006-02-22

月曜日のゼミまでの時間を利用して行って参りました。パウル・クレーとの出会いはパチ沼がまだ中学生(盗んだバイクで走り出すよりも以前!)だった時分の美術の時間でした。資料集に彼の作品がいくつか紹介されていたのですが、もうその絵を見た瞬間から私は彼の虜でございます。なんといいますか、彼の絵は見ているだけで顔がほころんできてしまうといいますか、ほんわか優しい気持ちになれるのです。彼の絵の中でもだいすきなのが水彩画。たくさんの色を使って描いているのですが、そのいずれの色も微妙なニュアンスで、まさに「可愛い」という日本語がぴったりくる絵たちなのです!今回展示されていた作品の中で特に素敵だと思ったのが初期の作品である「青い目の青年の頭部」と「バケツとじょうろ」、さらにいわゆる文字絵である「ああ、私の苦悩をさらに苦くするもの、それは君が私の心を予感だにしないこと」という絵。またバウハウス時代に描かれた「北海の絵」「つなわたり」。バウハウス後の「喪に服して」も好きです。ちなみに「つなわたり」はこれ(どっかのポスターの画像をパクってきました)。

かわいい(ため息)!実物はもっと直に温もりが感じられてよかったです。思わずこの絵がかかれた携帯ストラップを買ってしまいました。消費社会に完全に毒されている・・・。さらにベルン・パウル・クレーセンター開館記念で出版された本も購入、今回の展覧会で展示された絵はすべて収録されています。

クレーART BOXー線と色彩ー

クレーART BOXー線と色彩ー

で、主に孫のアレクサンダークレー氏の解説が載せられているのですが、その「はじめに」で氏が述べていたなかに気になる一文を発見いたしました。

十年以上も前のことですが、私は芭蕉の「奥の細道」の跡をたどってみました。旅の途上で、私の脳裏にあったのは、クレーがなぜ日本で愛好されるのかという問いでした。クレーの作品にはどこか俳句に似た要素が隠されているとしても、はっきりしたことは言えません。しかし、日本の歴史に残された深い文化に触れるとき、クレー芸術のすべてではないにしても、このような文化をもちえた人々には、クレーの核心に近づくメンタリティーが備わっていて不思議がないと思わずにはいられません。

俳句とクレーの相似性!全く思いもよらない取り合わせだったので驚きましたが、言われてみればなきにしもあらずだなと。クレーの作品は詩的ではありますが、「言葉」というよりもっと「音」に近いものだと感じます。そうした要素が俳句という「リズムをもった言霊」に通じる部分があるのかもしれないなと思いました。そうした視点から改めてクレーの作品を観てみると、より本質的なところまでわかってくる気がいたしました。好き好き、クレー!