ダークな意図

昨年id:seiwa氏がブログでえらいお勧めしていたような気がしたので、今更ではあるがDVDを借りてダークナイトを観賞した。バットマンシリーズを一作も見ていないため背景など一切解っていなかったのだが、そこはハリウッド映画、まるで心配GOMU-YO!正体を隠して街の正義を守るバットマンが、悪の権化たるジョーカーと戦う…といったドラゴンボール的構図が開始十数分で理解された。やれやれ、またしても善悪二元論&勧善懲悪ですか…サノバヴィッチ!と舌打ちしていたのもつかの間、あれれ、これはどうやら様相が異なるようですよ、よよよ。いわゆるハリウッド映画を小馬鹿にしてきた最大の理由が「我々(=アメリカ人)イズ正義」と信じて疑わない態度、さらにその正義をアウトサイダーにまで強要する厚かましさにあったわけだが、この映画は一貫して善悪の境界の危うさ、さらには善悪の定義そのもののアポステリオリな側面に目を向けている。私はキリスト教徒でも何でもないのでそこまで違和感なくジョーカーの存在を受け入れられたが、アメリカ人には結構ショックが大きかったのではあるまいか(や、コーラ2本がぶ飲みしながら「てかジョーカーまぢクールなんだけど」とか言ってるだけかもしれんが…)。何よりジョーカー役のヒース・レジャーの演技力が素晴らしかった。単なる狂人ではなく、善と悪を超越した存在であるジョーカー(nicoさんは天使みたいなもんと称していた)を見事に体現していたように思われる。若くして急逝されたと知り非常に残念に思う。また、まさに「アメリカの正義」の象徴だった検事の存在も大きかった。彼が悪(と一般的に信じられているもの)へと豹変していく様は、多くのアメリカ人に衝撃を与えたに違いない(希望的観測)。
とはいえ、やはり突っ込みどころ満載なのがハリウッド映画。以下に本映画鑑賞中気になったことを列挙する。

  • バットマンが乗っているすんごい車。バットのくせに飛ばないでドライブかよ!と思っていたのだが、終盤車からバイクに変身した時はさすがに驚いた。なんつーか、ハリウッドゥ。
  • バットマンが上記のマシーンで疾走する際多くの一般市民が命の危険にさらされている点。街に平和をもたらすのが仕事ではないのか、バットマンさんよ…
  • よくわからないアメリカンジョーク。どこが面白かったのか解説する字幕が欲しい(嘘)。
  • 女の一人や二人で大騒ぎしているバットマンおよび検事。やや、愛する人が死んだらそら悲しいですけども、あんなんなるかなァ。むっちゃ怒りまくってたけど。検事なんて怒りのあまり顔半分腐ってたし。無駄に強がらずに皮膚移植したらええやん。ほほ。
  • 顔半分腐るで思い出したがちょっと善悪二元論がクドい。コインの裏表とか、囚人と一般人が乗った船のくだりとか。やや満腹。
  • ジョーカーのコスプレ。申し訳ないがあの看護婦姿には笑ってしまったアルヨ。コスプレ姿を前に検事(顔半分)が怒りを爆発させるシーンもツボだった。検事はん、そこは笑うとこやろ!ッてか!
  • バットマンが犬には滅法弱い点。ピストルとかには強いくせに犬に噛まれて負傷て…。がんばれバットマンさん!

まァこんなところでしょうか。昔からシリアスなシーンほど無性に可笑しくなってしまうという捻くれた性格のため、コスプレジョーカーには心底参った。ちっとも変装になってないですしね。てなわけでCGを駆使した迫力ある映像は凄かったし、なにはともあれ面白かったと思います!