悪ミッキーと夢の国

kakiko2004-08-08

唐突だが私はディズニーランドが苦手である。むしろ嫌いである。というと大抵の人(特に女性)からは奇異の目で見られ、中にはなんて夢のないやつであることよ、可哀想に、といった憐憫の情でもって接してくる方もおられる。しかし何と言われようとも好きでないものは仕方あるまい。かくいう私、ディズニーランドに行ったのは高校2年の時に行った一回きりである。遥々栃木の田舎から友人ら数人とバスやら電車やらを乗り継いでやってきたわけである。当時はさすがに私も些か興奮しており、数日前から皆があれほど魅了されて帰ってくるディズニーランドとは一体いかなる夢の国なのだろうかと思いを巡らせたものだった。結論。心動かされたもの皆無。いや、細部の作りの手の込みようとか、スタッフ(クルーとか呼ばれる人達)の徹底されたパフォーマンスとか、広大な敷地面積とか、これは凄いなあと感心する所は随所にあった。しかしだからといって「きゃーっミッキー!!チョーかわいい〜ッ!」とはならなかったのである。幼少時に行っていたらまた違った感情を抱いたのかも知れないが、既に高校生となっていた私はどうしてもその虚構の世界に馴染めなかったのである。虚構が嫌なのではない。虚構を楽しむことは日常生活にメリハリをつけるスパイスとして有効な手段だと思う。単に趣味の問題であり、ディズニーランドが提供する虚構のコンセプトが私の好みではなかっただけである。しかし、なぜかミッキーマウスの着ぐるみに入るアルバイトには強く心を惹かれた。あの中に入っている人間はどんな顔で、どんな人生を送っていて、どんなことを考えているのだろう等等想像するのは非常に愉快である。昨日フラッグで知り合ったおじさんもアンチディズニー派であり、二人で着ぐるみの中身についてしばし談笑した。中身は悪ければ悪いほど良い、ごっつい気合の入ったおっさんが徐に被り物を脱ぎ捨て一服する姿は想像するだにすばらしい、あわよくば「糞餓鬼ィ、何こっち見てんじゃボケ、いてまうぞ!」とか言ってほしい、ということで我々の意見は一致した。悪ミッキーが潜んでいるディズニーランドなら行ってもいいなとは思う。