ネットsuicide考察

kakiko2004-10-25

丸激を久々に覗いてみたらなかなか面白そうなテーマがあったので聴いてみた。第186回「集団自殺や引きこもりの根底にある「心の闇」とは何なのか」ゲストは精神科医斎藤環氏。最近も集団自殺事件が起きてマスコミに大々的に取り上げられていたが、こうした自殺ウェブサイトを通じて知り合った人々がどのような過程を経て死に至るのか(心理的背景・サイトというシステムの作用機序、またそれらの温床となっている社会的背景などなど)個人的に興味があったので今回のテーマはかなりうってつけである。で、早速聴いてみたのだが、先ず驚いたのが宮台さんのファッションと。白地にピンク・黄・青の水玉が散りばめられたシャツをお召しになっておる。どこで買ったの、コレ・・。まあよい。気を取り直して静聴。のっけから宮台(以下M)データ提示「年間自殺者数3万5千人中ネット自殺者34名:すなわち1000人に1人」少なッ。ネット利用者数から考えてもこの数はかなり少なめですね。マスコミが大騒ぎするほどネットの影響はないのでは・・。Mによれば自殺ウェブサイトのオフ会で集まった人々は大体が死に場所を探しているうちに気分が変わり殆ど死に至らないらしい。すなわちウェブ利用者はネットをある種のコミュニケーションツールとして利用しているわけで、自殺念慮自体は低いと。確かに本気で死にたいと思っている人が他人と会うなどどいう無駄にエネルギーを要する行為をわざわざしないだろうとは思いますが。では死に至る場合はどこが異なるのかといえば、斎藤氏曰く個々人レベルでは自殺念慮の弱い人々であるのだが、集団化することにより動機が強化されると。偶々シンクロ率が高まった時に確率論的に自殺に至る場合が殆どであり、要するに死んでもいいし死ななくてもいいといった心理状態らしい。へー。つまりノリ的なものということでしょうか。というわけで斎藤氏はこの種の自殺はネットという動機強化システムがなければ起こりえないので予防可能だと言っております。ではこうした自殺ウェブサイトに集う人々の心理状態とは如何なるものや。最近やたら「鬱」という言葉を耳にしますが、斎藤氏曰く「鬱病」と「鬱状態」は異なるそうな。今の若者等に多いのが後者で、ストレス反応性による心因性のもの。で、前者の鬱病統合失調症など内因性のもので自殺の9割を占める要因だそう。後者を区別して「偽性鬱」あるいは「軽症鬱」と呼ばれる。確かに鬱状態を訴える患者は増えつづけているのだが、鬱病患者数は殆ど変化していないらしい。これらの区別が興味深かったのだが、鬱病患者は極めて生きる力が低下していて、自己愛が完全に破壊されており簡単に自殺できると。また様々な身体症状も現れるらしい。一方鬱状態(いわゆる現代の鬱)ではむしろ自己愛が強いあるいは自己愛が中心となっているが故の心理的ストレスによるものだと。ほほう。で、この鬱状態患者が増加する原因のひとつに「鬱」の一般化がある。鬱に関する知識が一般にも浸透し自己診断しやすくなり、また精神科医に増加に伴いアクセスもしやすくなり簡単に診断を下されるようになったと。要は「自称・病人」が増えているというわけです。これも事態の悪化に拍車をかけている要因のひとつらしい。結局まとめると心因性の鬱はハードには異常がなくあくまでソフトの問題なのでそのストレス要因を除外してやればよいと。うむ、そういわれるとそうなんだろうなァと思うが、結局ストレスをストレスと感じてしまうような環境を根本的に変えないと一向に鬱状態患者は減らないんでしょうねェ。つーか長くなりすぎた。プチレポートですねまるで。