春の雨、プレス式コーヒーメーカー、おまけの消しゴム

今日は目覚めた時からしとしと雨降り。個人的に、冬から春に変わる今ぐらいの季節というのは嫌いではない。雨の日はそれだけで憂鬱になるものだが、この季節の雨は特別に好もしく思える。勿論、花粉症が緩和されるからという理由だけではない。不思議な穏やかさがまちのくうきを満たし、そのくうきを吸っている私までも穏やかな心持ちになるのだ。
朝食兼昼食としてジャムつきパンとアロエヨーグルト、そして熱いコーヒーを淹れる。私はコーヒーが好きなのだが、かといってこれといったこだわりがあるわけでもない。大学から自宅までの道のりにあるスターバックスコーヒー本郷店で適当な豆を買い、そして淹れる。適当に買っているため当然毎回風味が異なるのだが、それもまたよし。最近飲んでいるのは期間限定で発売されていた豆で、名前は忘れたが程よいコクがありながらもクセがないのでデイリー仕様としてはよいと思う。風味がやや物足りないのと、私はもう少しだけ、酸味のある方が好みであることを考え合わせると、次回はこの豆を積極的には選ばないだろうなと思う。それはさておき、今日もこの豆のコーヒーを飲んだわけだが、私は以前よりプレス式コーヒーメーカーなるものを用いてコーヒーを淹れている。ドリップ式に比べよりコーヒー本来の旨みを抽出できるのが特徴らしいのだが、私はただ手入れが簡単なのを理由に購入しただけで、本来の旨みとやらをそれと認識せずにこの日まで過ごしている。なにはともあれ、一杯のコーヒーを飲むことで私の1日が始まることは確かだ。
昼過ぎ、雨の中大学までの道のりを歩く。小雨。傘なんてなくても問題ないんじゃないか?安っぽいビニール傘をこっそり路地に放り投げたら、道行くひとは何人振り返るだろうか?
途中、普段持ち歩いているメモ帳用のボールペン1本を買うため、文房具店SCOSに寄る。雨のせいか客は私ひとり。いつものように、まず目的以外のものを物色、あらかた見終ると本腰を入れて本来の目的にとりかかる。今日は奥のほうに隠れるようにして置いてあったポストカード2枚と(これほど注意深く探さなければ見つからないようなディスプレイには、店主の何らかの意図を感じずにはいられない)ティッシュケースつきミニポーチ、そしてボールペン1本を無事に手に入れることができた。レジで会計を済ませるとめがねの店主は小さく微笑んで、赤い消しゴムを白い紙袋に入れて渡してくれた。おまけの赤い消しゴム。大学に着くと、紙袋からそれを出してつくえの上に置いてみた。眺めて、私も小さく微笑んだ。