今更ですが、感想

もじに薦められ先週mamiさんと観にいってきた映画「エリ・エリ・レマ・サバクタニ*1」について、せっかくやから・・・ということでプティ感想を。主演は浅野忠信宮崎あおい中原昌也。監督は青山真治。青山監督の作品は「ユリイカ」しか観たことがないのだが、セピアと優しい光、静謐さ、方言特有の不思議な温かみ(と長さ!4時間て!)が特に印象に残っている。で、今回の作品の題名は「神よ、何ゆえに我を見捨てたもうや」という意味らしいのだが、うむ、観た後では納得。

西暦2015年。
日本をはじめ世界中に正体不明の致死ウィルスが蔓延していた。
メディアはそれを“レミング病”と呼んだ。
感染者は<自殺>という方法で死に至り、日本では300万人、米国では800万人が自殺していた。人々が希望を見失いかけ、絶望感に満ちた世界で、唯一の抑制方法が探しあてられる。
それは、日本のあるミュージシャンが奏でる“音”を聴くこと。
果たして彼らの“音”はこの絶望感に満ちた世界を救えるのか。

このミュージシャン役が浅野と中原なわけだが、2人のユニットが奏でる音楽、というか爆音・轟音(元々は風の音、打ち寄せる波の音、貝殻の触れ合う音など自然の中の様々な音を採集して作った音だがもはや轟音にしか聴こえない)を聴くことでレミング病の発症を抑えられるという。
明らかに、レミング病は広い意味での「鬱」であり、そうした心の病に苦しむ現代人に向けて「生きる力の再生」というメッセージを訴えている作品なのだと思う。リズムもメロディもない音(頭が痛くなるような爆音)という根源的・原始的なものに触れることで、機能不全に陥っていた「生命体としての、生きんとする指向」が再び地球全体と共鳴できるようになる、リセットされる、ということかと。映像もひたすら美しく、宮崎あおいの「再生」の場面は確かに圧巻であった。が。こんなにわかり易くていいのかとも思う。ウイルス病で自殺という設定は・・・ねェ?さらに、爆音シーンはかなり長いのだが、本当に鼓膜がやぶれそうなくらいうるさいのである。オープニングからうすうす音量でか過ぎだとは思っていたが。しかもこれを聴けば治るっつーのもさ・・・。健康な精神の持ち主であるパチ沼は何度となく睡魔に襲われたが、隣を見遣るとmami姐さんは健やかに寝ていらっしゃいました。我々が心の病に冒されていない証拠だと2人納得し、その後ワインを一本空けました。最近、何もやる気が起きないという方には是非おすすめの一本です!