ナマケモノ癖が抜けません

春だからということにしておきます。先日も家庭教師先の男子中学生に「やる気が出ない。やる気の出し方教えろ。」といった主旨の質問をされたのだが、そんなこと知ってたらとっくにパチ沼やる気満々だっつーの!やる気満々すぎて友達に影で「最近牡蠣チャンうざいよね・・・」とか陰口叩かれるっつーの!でもってそういう空気も読めずに「YO!みんなで一緒にガンバローぜ!ナセバナルって、ネ!」とかなんとか白い歯光らせながら言っちゃうっつーの!ドン★引くっつーの!
ハイ、というわけで昨日は一日中部屋に引き篭もっておりまして、以前mamiさんから借りたまましばらく放置してあったいしいしんじの「ぶらんこ乗り」を一気読みいたしました。

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

mamiさんのレビューを読んでいたのできっと素敵なお話なんだろうとは思っていたのですが、予想以上に良かった!
まだ幼い頃、わが家には毎月1冊絵本が届けられ、それを夜ベッドで母親に読んでもらっていた(トシコも昔は優しかったのであーる!しかも痩せてた!)のだが、その頃から絵本の持つ不思議な魅力にとりつかれてしまったのですね。小説とも画集とも違う、ひとつの完成した世界が絵本の中にはあります。コトバはリズム、音楽に近い音の世界と、お菓子みたいな色と形の世界。何度も何度も同じお話ばかり読んでもらったのを覚えています。
で、この「ぶらんこ乗り」。小説といいつつもまさに絵本と同じにおいを感じました。ことばの音楽とお菓子の色がいたるところに散りばめられている。活字が並んだだけの頁なのに色が見えてくる。
さらに、いつぶりかに感じる、あの感覚。絵本を読んでいてあまりにその世界に入り込んでしまうと、突如現実から切り離されたような恐ろしい感覚に襲われる瞬間があるのですが、この小説を読んでいた時もそんな感覚にとらわれ何度となくハッといたしました。底なしの谷を見下ろしたような恐怖感。絵本とこの小説の根底には、こうした人間の力の及ばないもやもやの世界が広がっているのだと思います。
そして今回改めて感じたのがひらがなの力ですね。この小説はひらがな表記の効果が遺憾なく発揮されている文章だと思います。いやはや、それにしたって「ことば」と「言葉」でこんなに印象が変わるのは何故でしょうかね。表音文字表意文字の違いだけでは語り尽くせぬ何かがあるんでしょうが、この考察はまた今度ということで。
なんにせよ、フォー!いしいしんじいいじゃん(すごい読みづらい・・・)!というわけで「麦ふみクーツェ」も購入!また気が向いた時にふらっと読みましょ。
麦ふみクーツェ (新潮文庫)

麦ふみクーツェ (新潮文庫)