終始暗いところが好ましい

先週の日曜日mojiとともに話題の「ゲド戦記」を観て参りました。まァパチ沼は当日までこの映画の詳細に関してはノーチェックでして、周囲のみなさんの「あんまりおもしろくなかった」「イマイチ」「よくわからん」といった感想から負のイメージをもって鑑賞に臨んだわけなのだが、うむ、うむうむ。ほう、ほう、ほほう。
ハイ、というわけで鑑賞後の感想を一言で申しますと、「終始暗くて良い」。周囲の酷評とは裏腹に私はわりあい好きな映画でしたね、ええ。まァ基本的にはダメなところも多く(台詞が説明口調なのと全体的に説教臭いところとテーマがやや時代遅れなところなど)、また物語が淡々と進むので派手さがなく、「つまらん」と思われるのもまァわかる。私的には主題に対するピントがぼやけてるのがイマイチだなァと思ったが(少年の心理的葛藤とその「乗り越え」といった内面的なものを描きたかったのか、あるいは人々の心の不安と無気力を生み出す現代社会に対する批判なのか・・・両方ごっちゃになってて混乱した)、まァアニメだし画がキレイだし田中裕子の声が艶っぽいしいいジャン!と。しかし「死とちゃんと向き合ってこそ生きる意味がある」「死を恐れて生から逃げるな!」みたいな文句でもって全て解決しようとしてたのは頂けなかったなァ。まァ確かに色んな問題がわんさか顕在化してる昨今、いまこそザ・実存主義なのかもしらんが。死を意識することで一回キリの命の重みを知ることは大切なことだとは思うし、それがまた生きる意味やら素晴らしさを改めて感じさせてくれるには違いない。しかし現代社会の抱える諸問題は、「死を意識して生に意味を見出す」といった個人的・内面的なことだけでは到底解決できないほど複雑で厄介なことになってるのだと思う。恐るべし、システム!まァごちゃごちゃ言ったがとりあえず最後まで暗かったのはアッパレ!特に挿入歌「テルーの唄」は哀しすぎて最高でした。
「心を何にたとえよう 一人道行くこの心 心を何にたとえよう 一人ぼっちの寂しさを」
うわはあああ、CHO→哀しい!!よかった・・・弱ってる時にきいたら確実に生から逃げてるとこだったよ・・・よよよ。