恐怖の出したくても出せませんですた事件

読書の秋ということで最近いいペースで本を読んでいるのだが、その中で是非皆様に読んでいただきたい本がございますので紹介させてください。
[rakuten:book:12120814:detail]
童貞が主人公である小説を集めたこの本、一言で申し上げるなら「気持ちわろし」です。特に三木卓の「炎に追われて」は読んでいて幾度となくさぶいぼが立った作品です!童貞の懊悩をストレートに描いた作品ですが、時折現れるメランコリックな表現には心底同情いたしました。例えばこれ。

・・・だが、硬く腫れたペニスは何等の個的具体的な対象を持たないまま暗い空を指し、ひたすら緊張からの解放を望んでいた。わたしは全身に動悸を感じながら眼を閉じた。すると、薄い眼瞼を通して真赤な光が見えた。わたしの肉体全体がその光と隈なく触れ合いたい、という欲求の虜になっていることがはっきりわかった。何故なら、わたしのこの夏をむかえた肉体は、灼けつくような衝動に導かれて生きているのであり、わたしはそれに従って精子を風にのせ、飛散させながら死んでいくだけの存在だった。・・・

最終的に主人公は近所の定食屋のおかみさんが寝ているところに出向き、勝手に挿入いたすことで童貞を喪失なされるのですが、まぁなんたってこんなに気持ちわるく描けたものだと感心しきりでございます。秋の夜長にぜひお楽しみあれ!